電子書籍と本とWEBの話

電子書籍の話が盛り上がっているこのごろ、ときどきふと思うこと。
それは「本って何だろう?」ということ。
辞書的な意味や歴史的な意味ではなく、一般的に自分たちが「本」と呼んでいる「あれ」はつまり簡単にいうとどういうものだろう?


もし、「紙を束ねて綴じたものが本」だとしたら、ノートや手帳も本ということになっちゃいます。
ではもっと狭くして、「情報が書かれている紙を綴じたものが本」だとしたら、紙に書かれていない電子書籍は本ではありません。
形にこだわらず中身を重視して「情報を集めて表示している何か」が本だとするなら、WEBサイトだって、本と呼んでもよさそうなものです。


「本」を定義しようとすると、狭くすればするほど一般的に「本」と思われるものが本でなくなり、広くしようとすればするほど一般的には「本」とは呼ばれないものも「本」になってしまって、どうもうまくいきません。



私は実のところをいうと、電子書籍というものにちょっとした違和感を覚えることがあります。
乱暴に言ってしまうと、「電子書籍なんてわざわざ作らなくてもWEBがあるのに」と思ってしまうことがあるのです。


実際に、昔は「本」として提供されていた情報やコンテンツのなかには、今はWEBに移行していっているものも多くあります。
地図は昔は本屋で買っていましたが、今はMapionで事足りてしまいます。
時刻表もそうです。Yahoo!の時刻表で足ります。
レシピ本も買わなくなりました。クックパッドがあればじゅうぶんです。
小説だって漫画だって、WEB上にはいくらでもあります。


WEBという便利なものがすでにあるのに、わざわざ使い勝手が悪い電子書籍を作る必要がどこにあるんだろう?
WEBでいくらでも手軽に読めるものを、わざわざ電子書籍の形で欲しいと思う人がどれだけいるのだろう?
WEBになくて「本」にあるもの。アドバンテージみたいなもの。そういうものがなければ、読者はわざわざ電子書籍を買い求めたりしないのではないか?


それで最初の疑問「本ってなんだろうなあ」に戻るわけです。


とりあえずいまのところ結論のようなものはないのですが(いつもオチがなくてすみません)、ひとまず、頭の隅っこにいつもこの疑問は置いておこうと思ってます。もしかしたら、電子書籍が普及しだして、色んな形の電子書籍が現れてきたら、だんだん「これが本ってものだ」と分かるようになるのかもしれません。