「社会不適合者だから起業したんだよ」と言った知人

数年前に、ファッションブランドを立ち上げた元同級生がいるのですが。
最近、よくはてブでホットエントリに上がっている、起業関連のエントリを読んで、この元同級生が起業したときのこと、ちょっと思い出しました。


彼は学生時代から優秀な人で、学内のコンクールではいつもすばらしい成績をおさめ、もちろん学外のコンペで入賞したこともあります。
そして、卒業後には、ずっと憧れだったと言う、某有名ブランドに勤めていました。


彼がブランドを立ち上げたと聞いたとき、私は「あんなに憧れて、熱意をもって入った企業を離れるくらいだから、相当自分のデザインに自信を持って、目標を持ってやっているのだろう」と思いました。


しかし、彼のブランドの展示会に行き、話を聞いてみると、どうもそういうことではなかったのです。
彼は、起業した理由を、自嘲ぎみにこう言いました。


「俺、社会不適合者だったんだよ」


とくに彼が会社勤めのなかでガマンならなかったのが、上司や先輩との人間関係だったそうです。


要するに、彼は「自分のブランドを立ち上げたい」と強く思ったわけではなく、「会社で働くのがいやで逃げ出した」結果、「ひとりで仕事をすることになった」になっただけだった、ということなのです。


会社のわずらわしい人間関係から逃げるようにして起業したこの元同級生ですが、もう3年ほどもブランドは続いています。取り扱ってくれるショップも増え、今年は海外の展示会にも出展することにもなり、順調に事業を続けています。


しかし、「人間関係にわずらわされたくない」という彼のブランドには、いまだに本人のほかには営業のスタッフがほんの1〜2人いる程度です。


果たして、彼はほんとうに「社会不適合者」なんでしょうか。


私は、起業したことはないので、起業の成功や失敗については語ることはできませんし、みんな起業したらいいよ!とも言えないです。
でも、大きな会社で正社員で働くことだけが、根回しやごますりや社内政治がうまくなることだけが、「望ましい働き方」で「社会に適合する」ことであってほしくはない、と思います。